中学生の自由研究に「物を作る」というのはいかがでしょう。モノといっても工作ではありませんよ。結晶を作るのです。

結晶を作ってみると、化学や物理の勉強にもなりますし、美しい結晶ができればうっとりしますね。

自由研究 中学生向けに、結晶の作り方とそのしくみ、レポートのまとめ方についてご紹介します!

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自由研究 中学生 結晶の作り方

何の結晶を作るか?

自由研究で何の結晶を作るかですが、おすすめはミョウバンです。

それはミョウバンは、食品添加物に使われている位、家庭で実験するのに安全ですし、温度による溶解度の差が大きいからです。

ミョウバンの溶解度は下の通りです。

●水100gに対する溶解度g (理科年表より)

   焼きミョウバン 、   結晶したミョウバン
  (無水のミョウバン)
0℃: 3 g、          5.7 g
20℃: 5.9 g、        11.4 g
40℃: 11.7 g、        23.8 g
60℃: 24.75 g 、       57.4 g
80℃: 71 g、         321 g

高温で水に溶かしたミョウバンは、水分を蒸発させるか、水の温度を冷やすか、あるいはその両方によって、結晶が析出してきます。

たとえば水100gに無水のミョウバン(焼きミョウバン)が60℃で24.75 g溶けている場合、水の温度を20℃に下げると、計算上18.85g の結晶が析出することになります。(実際には計算の通りにはいきません。)

★食塩の結晶は作れないの?

ちなみに身近にある食塩の溶解度は、20℃の場合 35.89、60℃ 37.04、80℃ 37.93で、温度による差がほとんどないので、結晶を作るのがむずかしいです。

★ミョウバンって何?

単にミョウバンといった場合は、硫酸カリウムアルミニウム十二水和物 AlK(SO4)2・12H2O を示すことが多く、カリミョウバンまたはカリウムミョウバンと呼ばれています。

カリミョウバンの無水物を焼きミョウバンといいます。
自由研究はカリミョウバンか、焼きミョウバンを使ってください。

カリミョウバンの方が溶けやすいです。薬局に売っています。通販でも買えます。
焼きミョウバンはスーパーの漬物材料コーナーなどにあり、カリミョウバンより安いです。

温度差による溶解度の差を利用した結晶の作り方

★用意するもの 

学校で行う場合はビーカーやガスバーナー、三脚などを使いますが、家庭でできる器具を考えてみました。

 ●器具
 
耐熱ガラス容器(火にかけられるもの)(直径があまり大きくないもの)、キッチンスケール、計量カップ、温度計、スプーン、ガラスのマドラー、ガスコンロ、ピンセット、ミシン糸またはエナメル線か銅線、木工用ボンド、割り箸、ガラスコップ(浅いもの)、画用紙、コーヒー用ペーパーフィルター

 ●薬品
 
ミョウバンまたは焼きミョウバン、精製水(薬局にある)(水道水でもできますが、精製水の方がよいです。)

★実験方法

(1) 用意したもの全部の写真を撮る。(レポート添付用)

(2) 器具で洗えるものはよく洗い、すすぎの最後に精製水をかけてから乾燥させる。

(3) ミョウバン25g (または焼きミョウバン15g)を量りとり、耐熱ガラス容器に入れる。
※ 耐熱ガラス容器が大きい場合は、2倍量、3倍量にしてもよい。

(4) 精製水100mlを加え、ガラスのマドラーでかき混ぜながら加熱する。

※ 耐熱ガラス容器が大きい場合は、2倍量、3倍量にしてもよい。

(5) ミョウバンがすべて溶けたら、その温度を測定し、記録する。熱いうちにペーパーフィルターでろ過する。
  
(6) ほこりが入らないように画用紙で軽くフタをして、室温にしばらく放置する。結晶ができるまで、一定時間毎に観察する。

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(7) 容器の底に小さな結晶ができるので、結晶が析出し始めたときの水温を測定し、記録する。温度計は静かに差し込む。形のよいものを選んで割りばしで何個かガラスコップに取り出す。(写真撮影)形のよいものとは、できるだけ透明度が高く、欠けていないもの。

(8) 残った溶液を再び加熱し、残った結晶がすべて溶けきったら、温度を測定し、記録する。そのまま室温に放置する。(画用紙でフタ)(6)と同様に観察する。

(9) ガラスコップに取り出しておいた小さな結晶の中から、特に形の美しいものを選ぶ。これを種結晶とする。(写真撮影)

(10) ミシン糸を耐熱ガラス容器の深さより少し長く切る。ミシン糸の片方の端に木工用ボンドで種結晶をつける。もう他方の端を割りばしの中央に同様に接着剤で固定する。余分なミシン糸は割りばしに巻きつける。(写真撮影)

(11) (8)の溶液に結晶ができ始めたら、(10)の種結晶を溶液の深さの中央付近につり下げ、室温に放置する。(画用紙でフタ)一定時間毎に観察する。(写真撮影)

(12) 成長した結晶を取り出す。(写真撮影)

(13) 耐熱ガラス容器の溶液を再び加熱し残った結晶をすべて溶かしたら、その温度を測定し、記録する。そのまま室温に放置する。(画用紙でフタ)

(14) (13)の溶液に結晶ができ始めたら、(12)の結晶をつり下げる。一定時間毎に観察する。(写真撮影)

(15) (12)~(14)を繰り返すと、大きな結晶になるので好みの大きさになるまで繰り返す。(写真撮影)

※(写真撮影)になっていないときでも、適宜必要な写真を撮ってくださいね。

※ミシン糸に接着剤で種結晶をつけますが、うまくつかなかったり、ついてもすぐ取れてしまうような場合には、ミシン糸のかわりにエナメル線や銅線を使ってください。

(例)
直径0.4mm位の銅線を精製水で洗浄し,赤くなるまでガスバーナーで熱して種結晶にさします。

自由研究 中学生 結晶を作るしくみ

自由研究で結晶を作るのは、「再結晶」という操作を使います。

再結晶とは、「合成または抽出などによって得られた粗結晶(純度の低い結晶)をより良質で不純物の少ない結晶へと成長させるための操作である。」
「粗結晶を溶媒に溶かし、溶媒の蒸発、温度差や溶媒の混合比の変化による溶解度の差などを利用して結晶を析出させる。」(ウィキペディアより)

今回の自由研究の場合、粗結晶(純度の低い結晶)ではなく、最初から純度が高い結晶ですが、しくみは同じです。

つまり、再結晶させる方法には3種類あります。

(1)溶媒の蒸発

(2)温度差による溶解度の差

(3)溶媒の混合比の変化による溶解度の差

自由研究では(1)または(2)、またはその両方を利用します。

(1)溶媒の蒸発

いったん結晶を溶かした飽和溶液の溶媒(水など)を蒸発などさせたりして結晶を析出させます。

(2)温度差による溶解度の差

物質によって一定の温度の溶媒(水など)に溶ける量は決まっています(溶解度)。
高温では溶媒に溶ける量が多く(溶解度が高い)、低温では溶ける量が少ない(溶解度が低い)場合が多いです。

この差を利用して、飽和溶液を冷やすと低温になって溶けない部分が結晶として析出します。ゆっくり冷やした方が大きい結晶になります。

自由研究 中学生 結晶の作り方のまとめ方

今回の自由研究は「結晶を作る」こと自体が主目的ですよね。

でもただ作るだけではなく、上の結晶を作るしくみを参考にして、自分でも結晶、再結晶のことを調べてみてください。

そうすれば「考察」もきちんとしたものが書けますし、レポートが立派に仕上がります。
自由研究のレポートのまとめ方についての詳細は本ブログの下記のページを参考にしてください。

中学生 自由研究 理科のレポートの書き方を解説!これで簡単にまとまるよ!

まとめ

自由研究できれいで大きな結晶を作れたらうれしいですよね。

物を作る喜びだけではなく、勉強にもなるし、作った結晶はきちんと保管すればかなり長く楽しめます。

もし実験がうまくいかなくても繰り返しやってみてくださいね。

夏休みの思い出に残る結晶を作ってください。

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